心がザワザワする理由~感情と心臓の関係とは
将来に起こりうる嫌なことを予想するだけで、胸の中心、心臓のあるあたりがなんだか苦しく感じられることがある。
これは、心配や不安を抱えているときに、多くの人が共通して経験する感覚なんじゃないだろうか。
もちろん、その感じ方は人それぞれだと思うけど、自分の場合は「ザワザワする」という表現がいちばんしっくりくる。
子供の頃なんかは、「心臓に心があるから、こうなるんだろう」なんて思っていた時期もあった。
たしかに「心臓」っていう漢字も、「心」と「臓器」の「臓」が組み合わさってできてるし、そんな発想を強めていたのかもしれない。
でも実際には、感情って脳で処理されているんだよね。
感情が生まれると、それに連動して自律神経系の反応が起こる。
自律神経系には「交感神経」と「副交感神経」があって、この二つが心臓の動きや血圧の調節に大きく関わっている。
たとえば、ストレスや恐怖のような強い感情が湧いたときには、交感神経が活発になって、アドレナリンやノルアドレナリンが分泌される。
それによって心拍数が上がり、血圧も上昇して、心臓がドキドキしたり、締めつけられるような感覚になったりする。
逆に、リラックスしているときは、副交感神経が優位になる。
その結果、心拍数は落ち着いて、呼吸もゆったりし、心臓の動きも穏やかになる。
深呼吸や瞑想、ぬるめのお風呂にゆっくり入ることなんかは、副交感神経を優位にしやすいとされていて、実際、心身ともに落ち着く感覚が得られやすい。
こうして感情が脳から自律神経を通じて心臓に影響を与えることで、「心臓が感情を感じている」ような不思議な感覚が生まれてくるんだと思う。
特に、交感神経が優位になったときには、心臓が刺激されすぎて「ザワザワする」といった違和感を持つこともある。
逆に、副交感神経が働いてリラックスしているときには、「フワフワする」とでも言うような、軽やかな心地よさを感じる瞬間もある。
こうした心臓の変化はすべて、自律神経が関わっている証なんだと思うと、人間の体って本当によくできているなと感心する。
とはいえ、感情の波が激しすぎたり、ストレスを慢性的に受け続けたりすると、自律神経のバランスが崩れてしまうこともある。
たとえば、自律神経失調症と呼ばれる状態では、心拍の乱れや不眠、めまい、消化不良など、心と体のさまざまな不調が出てくる。
だからこそ、自分の感情とうまく付き合って、ストレスをできるだけため込まないようにすることが、健康を守るうえでとても大事なんだと思う。
「ちょっと心臓がザワついてるな」と感じたときは、意識して深呼吸をしたり、少しその場を離れて静かな時間をとったりするだけでも、体の反応は変わってくる。
感情と身体は切り離せない関係にあるからこそ、自分の心と体の声に耳を傾けながら、うまくバランスをとっていけたらいいなと思う。