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虚しくなる瞬間

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ぼんやりと薄暗い空と山の境目あたりを見つめていると、心が虚しさでいっぱいになってくる。 天気がすぐれない冬の風景を見ていると、いつもこんな感じになる。 何を考えているのだろう……。 過去のこと?……それとも未来のこと?……。 後悔ばかりの過去なのか、不安だらけの未来なのか、どちらにしても心の虚しさは加速する。 せっかく人間に生まれてきたのだから、もっと楽しまなければ、もっと幸せにならなければと思えば思うほど、現実とのギャップによりさらに虚しくなる。 仮に毎日が楽しくて、毎日が幸せでいっぱいだったとしても、いつかその夢のような時間にも終わりが来る。 そう思うと……。 大切なものを失ったときにも虚しさでいっぱいになることがあった……。 でも、自分の持ち物なんてこの世にこの体ひとつしかなことに気づいたとき、所有欲というものが薄らいでいった気がする。 すべてはいつか失うものだということを理解してしまったせいで、虚しさを感じにくくなったのかもしれない……。 最後まで残るのは自分の体ひとつだけど、その体ともお別れするときが来る。 そして、同時に心も一緒に失われる。 自分の所有物がひとつもないという感覚が分からない……。 人間は未知のものに恐れを抱くから、この所有物がひとつもない感覚というのが死の恐怖なのかもしれない。 心が虚しさで満たされてしまうと、次にやってくるのは死を恐れること……。 死の瞬間に後悔しないようにと言うけれど、後悔したってしなくたって死んでしまうんだから、なんの意味もないような気がする。 後悔してもほんの少し虚しさを感じるだけ……。 虚しさをほんの少しの間……我慢すればいいだけである。 投稿:2023.12.20 水曜日