会社を辞めると言った人間を引き留めるリスクと職場への影響

会社を辞めるために退職願を提出する女性




多くの人間が会社などに務める中、退職を決断する際には、それ相応の理由と覚悟があるはずである。

しかし、退職を宣言しながらも、結局はそのまま働き続ける人間がいるのも事実だ。

こうした現象はどの職場でも一定の割合で見られ、周囲に少なからず影響を与えることがある。

まず、退職を表明した社員が引き留められると、他の社員はその人間に対して不信感を抱いてしまう。

なぜなら、辞めると言っておきながらその言葉を覆す様子は、周囲から口だけで行動が伴わない人間と見なされ、信頼が揺らいでしまうからである。

さらに、引き留める過程で特別な待遇や条件の改善が行われた場合、他の社員との間に不公平感が生まれやすくなってしまう。

この不公平感は、特に同じように不満を抱える社員たちに、自分も同じことをすれば待遇が改善されるのではないか、という期待を抱かせ、職場全体を不安定に陥れる危険性をはらんでいる。

また、引き留められた社員自身も、再び退職を考えることが少なくない。

引き留めによって一時的に職場に留まるものの、根本的な問題が解決されていない場合、再び不満が募り、結果的に職場の士気が低下する要因になる。

こうした不安定な状態が続くと、職場全体のチームワークや連帯感が損なわれ、業務の効率や生産性が低下するリスクが高まってしまう。

特に深刻なのは、引き留められた社員が特別扱いされていると感じ、他の社員との間に亀裂が生じることである。

この亀裂は、チーム内の分裂や派閥形成の原因となり、職場全体の雰囲気を悪化させる要因となりえる。

こうした状況が長引くと、職場の士気が低下し、信頼関係が損なわれることから、最終的には職場全体が不安定に陥る可能性が高まってしまう。

結論として、辞めると宣言した社員を引き留めることは、短期的には一部の問題を解決するかもしれないが、長期的には職場の雰囲気を悪化させるリスクが高いといえる。

職場全体の長期的な健全性や長期的な利益を守るためには、社員ひとりひとりの言動や決断に対して慎重な対応が求められる。

引き留めるかどうかの判断は、表面的な利益だけでなく、職場全体の長期的な安定と信頼関係を考慮した上で行うべきである。


食肉加工工場で経験した出来事

自分が食肉加工工場に入社した当初、違う部署の班長にあたる社員がいた。

その人間は、他人の悪口をよく口にしていたが、能力は高いと評判の人物だった。

ある日、その人間が実家の仕事を継ぐために退職すると聞いた。

ところが、しばらくすると、なぜか係長に昇格していた。

違和感を覚えたが、別の部署のことだったので、特に気にも留めていなかった。

しかし数年後、また退職するという噂が流れていた。

嫌な予感はしていたが、案の状、その人間は課長にまで昇進していた。

経営陣がどうしてそのような判断したのかは分からないが「自分はとんでもない会社に入ってしまった」と感じてしまった。

最終的に自分は退職してしまったが、今振り返ると「実家の仕事を継ぐ」というのは事実ではなかったと思う。

思うに、経営陣はその人間の批判的な態度を真に受け、評価を高くしてしまったのだと思う。

世の中には、根拠のない話で他人を陥れ、その上に立とうとする人間がいる。

社会で生きる上で、そういう人間たたちの「肥やし」にならないよう、自分をしっかり持つことが大切だと学んだ出来事だった。





イラスト:「イラストAC」めぐめぐ

投稿:2021.7.15 木曜日

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