哲学っていったい何の為にあるんだろう?
これまでの人生で、いくつもの問題に悩まされてきた。
人間関係や将来の不安、お金の問題など、悩みは尽きることがなく、解決できたこともあれば、今なお抱え続けている悩みも数多くある。
そんな中「悩んでいる自分とはいったい何者なのか?」という疑問が、ふと頭をよぎることがあった。
ある日、友人に「なぜ自分はこんなに悩んでいるのだろう?」と尋ねたところ、彼が一言「それは哲学というものだ」と言ったのだった。
それまで、哲学なんて自分には関係ないと思っていたし、興味すら持ったことがなかった。
しかし、その言葉がきっかけで「哲学とは何か?」を知りたいという気持ちが芽生えたのである。
調べてみると、哲学とは「あらゆる物事の根本原理を追求する学問」と定義されていることが分かった。
「根本原理」や「追求」という言葉から、やはり哲学は学問だという印象を受けた一方で、実はそれだけでなく、我々の世界や人生についての深い考察や、経験に基づく世界観や人生観まで含んでいることが分かった。
哲学とは、なぜ生きるのか、何が正しいのか、世界はどう成り立っているのかという根本的な問に答えを探すものである。
日常生活の中で、我々は多くのことを当たり前だと受け入れているが、その背後にある本当の意味を考えたことはあるだろうか?……。
善悪の基準、社会のルール、科学の真理、これらは一見当たり前のように思えるが、哲学はその「当たり前」を見つめ直し、より深い理解を追求する。
哲学の重要な役割のひとつは、物事をさまざまな視点から捉える力を養うことである。
その当時、もっと哲学のことを知りたくなり、何を読めばいいのか分からないまま「ソフィーの世界」という哲学入門書を手に取って読んでみた。
前半は興味深く読めていたが、後半になると難しさに混乱してしまったことを覚えている。
それでも、この本を通じて、物事を深く追及する哲学的な思考に触れられたことは、大きな学びとなった。
また、哲学の歴史を知ることで、人類が長年抱え続けてきた問いや、それに対する答えを知ることもできた。
哲学は単なる知識の取得手段ではなく、自己の理解を深め、人生の方向性を見つけるための道具でもある。
自分や世界についての疑問を解決する助けとして、哲学は今の自分にとって大きな意味を持つようになっている。
たとえ明確な答えが得られなくても、その過程で得られる気づきや洞察が、我々をより豊かな人生へと導いてくれると感じる。
そして、ふと未来を想像すると、もしシンギュラリティが到来し、人工知能が人間の知能を超えたとき、人類の長年の問いが解決される世界が訪れるかもしれない。
そのような世界では、悩む必要がなくなるかもしれないが、果たしてそのときでも哲学が存在し続けているのかは分からない。
しかし、少なくとも今の自分にとって、哲学は悩みや疑問を解決するための重要な手段であり、その存在理由を問い続けることが、自分にとって大切な問いであり続けると思う。
イラスト:「イラストAC」ぽのぽの
投稿:2021.5.10 月曜日