大人になっても消えない悩みと不安に向き合うということ
子供の頃、今では取るに足らないようなことで悩んでいたり、不安になったりしていた。
当時は「大人になればそんな悩みや不安からは解放される」と子供ながらに信じ込んでいた。
なぜなら、子供目線では、大人たちは悩みや不安を抱えているようには見えなかったからである。
だから早く大人になって、悩みや不安から解放されたいと思っていた。
しかし、成長するにつれて、それは幻想だと気づかされてしまった。
大人になっても悩みや不安が尽きることはなく、むしろそれらはさらに深刻さを伴っていったのである。
以前の悩みや不安が解決しても、新たな問題が次々にやって来る、それが人生の現実だった。
人間関係、仕事、お金、健康、家族、老後、そして死への不安……これらの問題は、一瞬でも気を抜けば心が押しつぶされそうになってしまう。
大人になると、こうした悩みや不安から完全に逃れることはできないと痛感させられる。
生きている限り、不安や悩みとは共存しなければならない。
時には「欲望さえ手放せれば、もっと楽になれるのでは」と考えたこともあったが、それも簡単ではない。
結局のところ、悩みや不安とどう向き合いながら生きていくかを学ぶことが、我々にとって大切な課題だと思う。
そこには何かしらの対処法や心の持ちようが必要である、例えば、悩みや不安に押しつぶされないためには、以下のような工夫が役立つと思う。
小さな目標を立てる
大きな悩みを一気に解決するのは難しいが、少しづつでも改善を目指し、小さな目標を達成することで、心に余裕を持たせる。
例えば、今日ひとつだけ問題に取り組む、一日のうちで少しだけリラックスする時間を持つ、という感じである。
悩みを書き出す
頭のなかで悩みや不安がぐるぐる回っていると、それが大きく感じられることがある。
紙に書き出すことで、現実的な解決策が見えやすくなったり、問題が整理されて、少し心が軽くなることがある。
他者に話す
悩みをひとりで抱え込むことは、さらにそれを深刻化させてしまう。友人や家族、あるいは専門家に話すことで、他の視点からアドバイスをもらえたり、自分だけが悩んでいるのではないという安心感を得られる。
適度な距離を持つ
悩みや不安に過度に向き合いすぎると、逆にそれに飲み込まれてしまうこともある。
問題に取り組む時間と、意識的にそれを忘れる時間をバランスよく持つことが大切である。
こうした小さな工夫を重ねることで、完全に悩みや不安から解放されなくても、少しずつその割合を減らし、心の負担を軽減させるように意識しながら生活していく。
そして悩みと共存しつつも、自分の心と体を守る方法を見つけることが重要である。
人生に後悔が残ることや、死の瞬間まで悩み続けることがあるかもしれない、それでも、我々はその現実を受けて、少しでも前向きに生きる道を探すしかない。
やる気を失う瞬間が何度もあるかもしれないが、少しでも心を軽くする工夫を続けることが、最終的には自分自身を救う一歩になると思う。
悩みや不安からは完全に逃れることは難しいかもしれないが、それらと上手く付き合っていけるようにするのも人生の目的のひとつような気もする。
もしかすると人間が生きる意味、そのものなのかもしれない……。