物質としての人間と心のケア~五感を通じた健全な生活のすすめ

この世界のすべては物質でできている……だから、人間もその一部として物質で構成されていると考えるのが自然だと思う。 そう考えると、心や精神もまた、物質でできた人間の脳が生み出すものだと言えるかもしれない……現代の神経科学もこの考えを支持しているようだ。 つまり、脳の働きが感情や思考を生み出しているということである。 しかし「心」をただの物質的な反応と捉えるのは少し難しい部分もある。 だからこそ、心の現象は物理的な範囲を超えているのではないかと考える研究も行われている。 人間の体に魂があるから心が存在するのではなく、むしろ、魂という考え方は、我々が意識や自我をどう感じるかを説明するためのものであるかもしれない。 つまり、魂の存在は科学的に証明することはできないということである。 これは、宗教的や哲学的な問いに属するのかもしれない……。 目に見えないエネルギーが人間に影響を与えているという考えもあるが、そのエネルギーが何なのかはまだ科学では解明されていない。 しかし、それを完全に否定する証拠もないため、何らかの形でそのエネルギーが影響を及ぼしている可能性は否定できない。 人間の体が食物からエネルギーを得ているのは確かだ。 だから、人間が物質からできていると考えるのは自然なことだと思う。 そして、物質でできた脳が心を作り出していると考えると納得できる。 この視点から、体と心のどちらを優先してケアすべきかという問いが生まれたのである。 これは「卵が先か鶏が先か」という議論に似ている。 健康な体が健全な心を育むのか、あるいは健全な心が健康な体を作るのか……どちらも大切だが、どちらを優先すべきかは簡単には言い切れない。 でも、やはり物質の世界に生きている以上、物質を優先するのが自然ではないかと思う。 なぜなら、心に影響を与えるのは物質的な世界から得る情報だからだ。 人間は五感を通じて情報を得ている。 第六感があるかもしれないけれど、自分はそれを感じたことがないので、ここでは五感に焦点を当てて話を進めたい。 受精後に細胞が分裂して体が作られていく過程で、心も一緒に作られていく。 そして、その心は体の状態に大きく左右される。 もし体のどこかが痛かったり、苦しかったり、かゆかったり、気持ち悪かったり、あるいは疲れていたりすれば、どんなに心が穏やかでも...