変わらない他人と変わるのが難しい自分
人間関係をよくするための定番のアドバイスとして「他人は変えられないから、自分を変える」という言葉をよく聞く。
正論に見えるし、確かにその通りだと思う人も多いだろう。
実際、他人の性格や行動を根本から変えるのは難しい、ていうか不可能である。
過去に、何度注意しても同じことを繰り返す人がいて、心をすり減らした経験がある。
一時的には改善したように見えても、時間が経つと元に戻ってしまう……。
「また同じことを言わなきゃいけないのか」と思うたびに、精神的な疲労が積もっていく。
そして、その経験から学んだことがある。
「こうしたら普通は気づくだろう」「自分だったらこうするのに」――そうした思いは、すべて自分の価値観の中で他人を測っているにすぎなかったということに。
他人も同じように考えてくれるはず、という前提がズレていたのだ。
それからは、今度は自分を変えてみようと努力してみることにした。
けれど、思った以上に「自分を変える」こともまた、簡単なことではなかった。
気を抜けばすぐに元に戻るし、本質的な部分は変わらないまま、表面だけ取り繕っているような感覚になることもある。
結局、身につけたのは「ダメージを最小限に抑えるテクニック」のようなものだった。
自己改善というより、消耗を防ぐための自己防衛。
本当に変わったのかと問われれば、答えに詰まってしまう。
それでも、人は変われる可能性を持っていると思う。
ただし、それには強い意志と、適切なサポート、そして多くの時間が必要になる。
だからこそ思い出しておきたい。
「自分を変えること」がすべての答えではないということ。
もし今いる環境が心にとって重すぎるのなら、「場所を変える」という選択肢も持っていていい。
環境が変われば、考え方も、感情も、行動も変わる可能性がある。
学校、職場、家庭――どこであっても、今の環境がすべてではない。
イラスト サウナ猫
投稿:2022.6.10 金曜日